前回、エアコンの効率を示す「COP」という言葉が出てきた。
エアコンは効率が良い。
電気1に対して何倍もの熱を生み出せる。
それは事実だ。
しかし――
寒冷地でも、その数字はそのまま当てはまるのだろうか。
今回は、COPという指標を一度分解してみたい。
【第1話】−9℃の朝。灯油が高い今、エアコン暖房は本当に安いのか?
【第2話】COPとは何か?寒冷地でエアコン効率が落ちる理由を整理する
【第3話】COPってそもそも何?エアコン暖房の「効率」が見えない理由
【第4話】 寒冷地の暖房費はいくら?エアコンと灯油100Lを月額で比較
【第5話】 お日様が登ってきたら、エアコンの出番になる
COPとは何を表しているのか
COP(Coefficient of Performance)とは、
消費した電力に対して、どれだけの熱を生み出せたか
を示す数値だ。
例えば、
暖房能力 4.0kW
消費電力 1.0kW
であれば、
COP = 4.0 ÷ 1.0 = 4.0
つまり、電気1に対して4倍の熱を出せていることになる。
ここだけを見ると、エアコンは非常に効率が高い。
なぜCOPは1を超えるのか
電気ヒーターは、電気をそのまま熱に変える。
この場合、
1kWhの電気 → 1kWhの熱
COPはほぼ1。
一方、エアコン(ヒートポンプ)は違う。
熱を「作る」のではなく、
外の空気から熱を「運ぶ」。
電気は、その移動に使われる。
だから、
1の電気で4の熱を得ることができる。
これがCOPが1を超える理由だ。
ここで生まれる誤解
世の中の比較記事では、こう書かれていることが多い。
エアコンはCOP4だから灯油より安い
しかし、この数字には前提条件がある。
ほとんどのカタログに記載されているCOPは、
- 外気温 7℃
- 室温 20℃前後
という標準条件で算出されたものだ。
つまり、
氷点下の朝を想定していない。
外気温が下がると何が起きるのか
エアコンは外の空気から熱を取り出している。
外気温が下がると、
- 取り出せる熱が減る
- 圧縮機の負荷が増える
- 効率が落ちる
さらに氷点下では、
室外機に霜が付着する。
霜は熱交換を妨げるため、
エアコンは一時的に暖房を停止し、霜を溶かす運転を行う。
これが「霜取り運転」だ。
その間は、
- 暖房能力は実質ゼロ
- 電力は消費する
つまり、実効的なCOPはさらに低下する。
カタログCOPと寒冷地の現実
ここで一度整理すると、
- カタログCOPは外気温7℃前後
- 寒冷地の真冬は −5℃や −9℃
- 条件が大きく異なる
例えば、標高約700mの地域では、
2026年1月は最低気温が −5℃以下の日が半数以上を占めていた。
この環境で、
「COP4」という前提をそのまま使ってよいのか。
そこに疑問が生まれる。
では、何℃で話が変わるのか
COPは一定ではない。
外気温によって変化する。
では、どの温度を下回ると
灯油とエアコンのコストが逆転するのか。
次回は、
- 灯油1Lあたりの熱量
- 電気1kWhあたりの熱量
- 実際に月100L使っている我が家の条件
を同じ土俵に乗せて比較する。
理屈ではなく、
具体的な数値で検証していきたい。

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